


SAAの農産物加工プログラムの目的は、農村における農産物加工業の経済的持続性を強化、実証し、農業を都心部の市場と結び付けることです。SAA農産物加工プログラムのリーダー、間遠登志郎氏は、「私たちは、小規模農産物加工業が農村地域の活性化に非常に役立つことを確信しており、その可能性はほとんど手つかずのままです」と語っています。
農産物加工の必要性
農産物は傷みやすくかさばるため、人口密集地で食糧需要が増加しても遠隔地の農民の利益にはつながりません。せっかく収穫を2倍、3倍にする努力を重ねても、消費者に届くまでに腐ったり価格が下がったりすれば、農民の苦労は無駄になります。そこで加工処理による付加価値創出が必要となるのです。
小さな加工機械でも、現在手作業で行なっている重労働を軽減することができます。特にアフリカでは農産物の加工や市場での販売は女性の仕事ですので、簡単な機械化でも女性にとっては大きな助けとなるのです。
SAAは1990年代初頭から、国際熱帯農業研究所(IITA)と共同して、アフリカの零細農家により良い貯蔵・加工技術を普及させるプログラムを実施しています。
指導・育成
1995年、SAAはガーナのグラティス・ファウンデーション(GRATIS Foundation)と初めて提携し、零細農家・生産者により良い農産物加工技術を指導する活動を始めました。SAA、GRATIS、IITAはまた、機械の製造・組立を行なう技術者の育成も行なっています。
加工機械やそのアフターサービスの必要性が高まるにつれ、ガーナでは2001年に製造者組合が結成されました。この組合には地域作業場9ヶ所と私営作業場2ヶ所があり、グラティス・ファウンデーション常務取締役、ダンキー・ダフール氏によれば、「農産物加工機械の製造と販売を行なうとともに、アフターサービス、スペア部品の提供、製品の実演、国内外の農業見本市への出展などを行なう」とされています。
SAAは、農民グループに機械の使い方や小規模事業の経営方法を指導するだけでなく、製造業者に対する機械実演や製造研修、製造業者と原材料サプライヤーに対する販売機会や需要拡大についての情報提供などを行なっています。
会議
SAAはベナン、ガーナ、また最近ではエチオピアからの参加者が集う会議を開催しています。会議の参加者は、生産上の問題、品質管理、マーケティングなど、共通のテーマについて話し合います。最初の会議は2003年にベナンで開催されました。
万能脱穀機
2001年、SAA-APプロジェクトはIITAが開発した万能脱穀機を導入しました。IITAはギニアの製造業者に対し、万能脱穀機と精米機の製造研修を行いました。研修を受けた技術者はすぐに脱穀機の製造を開始しました。また、SG2000がNERICA(アジア稲とアフリカ稲の種間交雑種稲)を導入してから、稲の脱穀機の需要が高まりました。
キャッサバ
キャッサバの加工機械は、手動と自動のものがあります。キャッサバは非常に傷みやすい作物です。手動のものは安価なので各家庭で使用でき、エンジン付は通常は村のグループや小規模加工業者が購入します。ガリ(発酵させて炒ったキャッサバ)は西アフリカの主要商品となり、西アフリカからヨーロッパまで、広く販売されるようになりました。
シアナッツ
また、西アフリカのサバンナ地域の農村で製造されるシアバターも新たな輸出商品となりました。ベナンでは2003年に、より良いシアナッツ加工機械の導入に焦点をしぼった農産物加工プログラム「コンプリート・カリテ」を実施し、IITAが開発したシアナッツ粉砕機や湿式ミルなどを紹介しました。
上記の粉砕機は、それまでの人力粉砕に比べてはるかに効率的で、粉砕量は1日50 kgから1時間300 kgへと跳ね上がりました。湿式ミルで粉砕したシアナッツをひいてペースト状にし、その後ペーストをしぼってオイル(シアバター)を抽出します。新しい加工機械を使えば、シアナッツ100
kgからシアバター49 kgを採ることができます。この新技術・機械により、加工時間が短縮されるだけでなく、製造されるシアバターの量が増え、品質も高まります。
活動結果
プロジェクト実施国の1次および2次データの分析から、ガーナ、ベナン、エチオピアの農村で、いくつかの小規模事業が高い利益を上げていることが分かりました。前出の間遠登志郎氏は、「活動結果から、プロジェクトは農村におけるより良い農産物加工技術に対する意識付け、これら技術の実施・運用を持続させるサポート体制の確立など、大きな成果を上げていることが分かります。農民や加工業者は、加工能力の向上や、付加価値商品の生産、市場販売機会の拡大を喜んでいます」と語っています。
SAA-APは2005年末までに、ベナンとガーナにおける活動を終了しました。GRATISおよびベナンの製造者組合は、今後も日常の活動として技術の普及を行なっていきます。SAA-APは現在、エチオピア、ナイジェリア、マリ、ウガンダにおける活動を行なっています。
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